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Fig6b.に示すように開口部では沖向きの流れ、非開口水域内では流れが遅くなったり流れの向きが一部沿岸方向や向岸流に変化するのが見られる。
したがって、離岸潜堤は、卵・稚仔の水域内における滞留時間を長くすることができる。それにより、卵・稚仔の着底を促進できるので、二枚貝増殖場造成工として有効と考えられる。また潜堤の規模・配置を変えることにより水域内の流れを制御して、卵・稚仔の沖合への流出防止に有効な循環流を生じさせることも可能と考えられる。

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Fig-6. Wave current around detached submerged breakwater

4−2 地形制御による貝の露出・転動減耗低減効果
(1)実験の方法
潜堤設置による二枚貝の露出・転動減耗低減効果を確認するために、貝の拡散および海底地形変化について、Fig-7.に示す幅0.9mの二次元水路を用いて、縮尺1/25程度の水理模型実験を実施した。貝の模型は、実物貝の比重と同程度の比重1.6とし、形状は実物貝を50mmと想定した1/25の直径2mm、高さ1mmの円筒状とした。この模型貝と実物の貝の沈降速度の測淀から、模型貝は殻長の1/2乗に比例する範囲にあり、フルードの相似則が成立するため、水理実験に用いた模型の貝は実際の波による貝の浮遊・沈降現象を再現できると考えられる(Fig-8.)。実験は波作用前に粒径0.18mmの砂で海底勾配3/100の一様な斜面上に現地換算で1m四方に1個の割合で模型貝を散布し、Table−4.に示す波条件および潜堤の天端高

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Fig-7. Two−dimensional wave flume

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Fig-8. Settling veloci1ty for bivalve length

Table-4. Experimental condition

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rと水深hの比r/hを0.7とし、A潜堤(現地換算でh=3.0m)、B潜堤(h=5.25m)、C潜堤(h=7.5m)に対して、規則波を8時間作用させた。その後、地形変化の測定および岸沖方向に50mピッチで採取した一定量の砂を篩いに懸け、模型貝を計数した。なお、波による貝の移動機構を解明するため、桑原はホルマリンで固定した殻長8mmのホッキガイを用いて、波高7cm程度の移動床実験を実施している8)。

 

 

 

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